はて、さて。
ふと、はて、さて、思う。
たとえば私がもっと美人さんだったら、世界は変わって見えるだろうか。
そういうどうでもいいことを考えることが
きっと痛くて、だめなんだろうけれど、
クリコは一晩中思いをめぐらせた。
たまに、こういう夜がある。
心のどこかにいつも容姿差別されてきた
思い出がよみがえる。
小学校、ブタがもっとブタになるようにと
嫌いなものを給食に入れられた。
中学校、先生にもっと走れこのブタと
ののしられた。
高校生、お金もらってもヤリタクナイ女子
一位に輝いた。
言い返せばよかったのに、と今の私のこころなら
ファイティングスピリットがあることが
あちこちで心を叩かれてきたおかげで
強くなったのかもしれない。
そのとき思った弱い心を吹き飛ばす。
朝になる。
私は、アンタタチヨリウエ。
ピンクのシャネルの口紅を
さっとぬって
5センチのピンヒールで
NYのストリートを歩いた。